阿蘇山

火山の山を後回しにしたツケが回る

 2019年に九州本土の日本百名山を回った際、日程の関係でどうしても一座を外さざるを得なくなり、阿蘇山は空港から遠くなく歩行時間も比較的短いので、関東からでも週末だけで登れるだろうとの考えで後回しにしました。しかし2020年の阿蘇山のご機嫌はよろしくありませんでした。
 2月に噴火警戒レベルが2に引き上げられ、中岳第一火口から半径1km以内への立入りが規制されました。この警戒レベルと立入規制は半年続き、8月に警戒レベルが1に引き下げられたものの、立入規制が解除されたのは9月に入ってからでした。

 新型コロナウィルス感染症流行の谷間に出かけたいとの気持ちもあり、様子を見ていましたが、いよいよチャンス到来。10月上旬に熊本空港に飛びレンタカーを借りて熊本市内のビジネスホテルに泊まりました。このホテルでは、朝食会場が密になるのを軽減するため、感染対策として部屋に持ち帰って食べても構わないとのことでした。

 翌日は、2014年8月の最終運行後廃止となった阿蘇山ロープウェー阿蘇山西駅跡地から中岳経由で高岳に登りました。山頂では360度の展望を満喫し、深田久弥がこの火山のスケールに驚いたのも尤もだと感じました。
 阿蘇山は世界最大級のカルデラをもち、その規模は東西17km南北25kmに及びます。バラバラの島だった九州を物理的地学的に統一したのは阿蘇山の大噴火だったと言われています。

阿蘇高岳からの眺望
高岳頂上からカルデラを望む

 下山は往路を戻りつつ途中から砂千里ルートに入り、阿蘇山西駅跡地におりました。朝は火口見学の人も多く見ましたが、下山時には見学不可となっていました。立入規制が発せられていなくても、その日の火山ガスの状況や風向き等により臨機応変に火口見学を制限するようです。

 阿蘇登山からの教訓:火山の山は優先して早めに済ませておくべきだった

 参考に、火山の山に行く際の留意点として、下記の項目を挙げておきます。御嶽山の大惨事に鑑みると、このくらいの心構えが必要と感じざるをえません。
 目的とする山の火山活動状況に応じて、対策を適宜プラスしてください。
 ・ヘルメットとゴーグルを持参し背中全体を覆うザックを背負い火山弾・火山灰から身を守る
 ・有毒ガスや火山灰を吸い込むと呼吸が難しくなるので濡れタオルで鼻と口を覆えるよう備える
 ・避難シェルターのある場所を事前に確認しておく
 ・火山性ガスは常時漂っている場所もあるので事前に情報収集しておく(見えざる敵として警戒)
 ・火山活動に伴う規制は随時変更されるので最新情報を確認する

阿蘇高岳への新道開設という嬉しいニュース

 2022年5月、噴火警戒レベル2で立入規制が発せられている場合(警戒レベル1でも立入規制のケースあり)でも登山道の安全が確保できる状況であれば高岳・中岳に登山できるコースが開設されたとの情報があります。阿蘇市HP等で確認してください。

(2020年10月下旬登頂 日本百名山98座目)