#76座目 悪沢岳

封筒型シュラフの有難みを知る

 悪沢岳(標高3141m)と赤石岳(3120m)は、南アルプスの盟主であり、標高からして厳しそうな山々と思ってきました。この2座をまとめて登る計画を立てるにあたり、スケジュールに余裕をもたせることを第一に考えました。
 具体的には、初日いきなり千枚小屋に入らず、日数が1日余計にかかっても二軒小屋ロッジに宿泊する計画としたことです(二軒小屋ロッジは現在営業休止中)。

 入山1日目は朝自宅をマイカーで出発し、畑薙第一ダムの夏期臨時駐車場に車をとめ、11時発(当時のダイヤ)の東海フォレスト登山バスで椹島に入りました。ここで時間が空いたので昼食休憩をとり、乗継バスで二軒小屋ロッジに到着です。

 このロッジは、料理にこだわっていて一品ずつコースのように出してくれました。お風呂にも入ることができ、山中で珍しい存在です。

 入山2日目は、朝食をお弁当に替えてもらい、かつ昼食用のお弁当も小屋にお願いしました。天候は生憎の雨で、黙々と歩くのみです。千枚岳から左に下った所にある千枚小屋には昼過ぎに着きました。2012年に新築されたばかりの綺麗で気持ちの良い小屋です。
 昨日は歩行時間ゼロ、今日も半日仕事で、これでいいのかと疑問が湧きましたが、雨具を乾かす等午後の時間を有効に使うことができました。

 千枚小屋からは富士山を望むことができました。「♪頭を雲の上に出し♪」と歌われるだけあって、天候が悪くても顔を見せてくれました。
 この山行では、周囲の南アルプスの眺望を楽しみにしていたのですが、得られずじまいでした。それでも富士山は時々姿を見せてくれました。

fuji from senmai
千枚小屋からの富士山

 この山小屋で自分の既成概念を覆すことがありました。
 学生時代に幕営山行をしていたこともあり、寝袋の形は人形型が暖かく嵩張らず最高の形と信じていたのですが、この山小屋の寝具は封筒型シュラフ。実際に寝てみると、足を動かしやすく、この方が断然楽です。山歩きの後は、足にだるさを感じるので、動かしやすいことがこんなに楽なのかと、この歳になって初めて知りました。

 入山3日目は、またもや雨です。南アルプスは太平洋から近いので、湿った空気が直撃するのだと思います。
 まず千枚岳へ登り返し、ここから何度か上り下りを繰り返したあと、76座目となる悪沢岳に到着です。残念ながら眺望はゼロ、小休止のみで出発です。

 この後は、荒川中岳避難小屋、荒川中岳山頂を通過して荒川小屋に到着。カレーライスの昼食をいただき、腹ごしらえです。

 ここからもう一頑張り、今日は赤石岳にも登頂したのですが、この続きは次回記します。

(2015年8月下旬登頂)