南アルプス南部の日本百名山
「百名山」達成へ 南アルプス南部に向かう登山者たち(山と人と信州と)というタイトルの2022年9月19日付信濃毎日新聞デジタル版記事を読み、南アルプス南部の山々を改めて思い起こしてみました。
記事は、南アルプス光(てかり)小屋では、光(てかり)岳で百名山を達成した登山者を祝うことにしていて、今年の達成者は9月9日時点で33人いるそうですが、必ずしもこの山を最終目的地としていたわけではないことを紹介しています。
その背景として、
・南アルプス南部の百名山は山が深く行程が長いので、先送りしているうちに残ってしまう。
・森林限界が高く見晴らしの悪い樹林帯を黙々と歩くため、体力と気力を要求されるので、後回しになる。
等の点が挙げられています。
私も、悪沢岳を76座目、赤石岳を77座目、聖岳を81座目、光岳を82座目に登ったので、まったく同感です。
自身の山行を振り返り、南アルプス南部の魅力について、記事に書かれていない点を記してみます。
食事に力を入れている山小屋が多い
山男の歌の歌詞に、「山男の好物は 山の便りと三度の飯」という句があります。体力を多く消耗する南アルプス南部では栄養補給がより重要ですが、嬉しいことに食事に特色を出している山小屋が多くあります。
私はまだ泊まったことがないのですが、百間洞山の家では「とんかつ」が名物でファンが多いようです。
泊まった山小屋の中では、いつも出してくれるのか判りませんが、三伏峠小屋の「天ぷらそば」が感激でした。また、車道が通じているので他の山小屋と同じ基準で比較することは適当でないものの、二軒小屋ロッジ(現在営業休止中)でコース料理のように出してくれる夕食は絶品でした。
聖平小屋のように、「ウェルカムフルーツポンチ」(セルフサービス)を提供していただけるのも、一日歩いて疲れた体に嬉しいです。
封筒型シュラフを置いている山小屋の存在
学生時代に幕営山行をしていたこともあり、寝袋の形は人形型が嵩張らず暖かくて最高の形と長らく信じていました。南アルプスの千枚小屋で封筒型シュラフに寝てみて、足を動かしやすく、この方が断然楽であることがを知りました。山歩きの後は、足にだるさを感じるので、動かしやすいことがこんなに有難いことなのかと、初めて知りました。
自分で担ぎあげるのでなければ、封筒型の方が快適です。
東海フォレスト系の山小屋では、封筒型シュラフを置いているようです。
富士山の見え方が好き
富士山頂の火口(お鉢)には、三角点のあるピークが二つあり、火口を挟んでほぼ反対の位置にあります。
すなわち、お鉢の南側に日本最高地点の剣が峰(標高3776m)、ほぼ北端に白山岳(標高3756m)があります。南アルプス南部の悪沢岳~赤石岳~聖岳にかけては、この両ピークがお鉢の両端に鬼の角のように見えます。私はこのシルエットが大好きです。
光岳まで南下すると、富士山の両ピークが、お鉢の両端から、僅かずれてしまいます。
もちろん、山頂部がどのように見えようが、富士山の均整の取れた山容は、さすが日本一の山です。