白馬岳 気候変動の影響を受けている山

 白馬岳を代表する登山ルート「白馬大雪渓コース」が、2023年8月27日15時をもって閉鎖されました。昨冬の降雪量が少なかったことや今夏の猛暑が影響し、雪渓が崩落して危険が増したことによるものです。
 3年前の2020年、やはり前冬の降雪量が少なかったこと等により、9月20日に大雪渓コースが閉鎖されています。今回はそれよりも1ヶ月ほど早く閉鎖されたことになります。
 豊富な万年雪に登山ルートを頼ってきたこの山は、気候変動の影響を最も受けている山ではないかと思います。

 深田久弥がこの山への賛辞として「大雪渓があり豊富なお花畑があり」と記していますが、これは冬季の豊富な降雪量に負うところ大です。
 異常気象が長年続けば白馬岳の大自然も影響を免れないと懸念します。
 脱炭素への取り組みは待ったなしです。

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日本三大雪渓

 白馬大雪渓は、針ノ木大雪渓、剱沢雪渓とともに、日本三大雪渓と呼ばれており、その中で最も長大な雪渓です。

 針ノ木大雪渓は、戦国武将佐々成政が西暦1584年に針ノ木峠を厳冬期に越えたとの伝説で有名ですが、敵陣の中を糸魚川回りで通ったとの説もあり、定かではありません。

 剱沢雪渓は、前冬の降雪量が少なかった2020年に途中で寸断状態となり、やはり地球温暖化の深刻な影響を被っています。

非対称山稜

 この山域では、冬の季節風と多量の降雪により、非対称山稜という独特な地形が形成されました。
 白馬岳はその代表格となる山です。

 主脈が南北に走っているところに西寄りの季節風がぶつかることにより、山の西側と東側とで異なる影響を受けます。
 西側では強風により雪が飛ばされ山肌の凍結が深く及ぶため、岩石が破砕されて崩れ、緩やかな斜面が形成されハイマツが茂ります。
 これに対し、東側では雪が吹きだまり残雪期が長くなって植生に乏しくなります。従って斜面の浸食が激しく、急斜面が形成されます。

 白馬三山のひとつ杓子岳は、家の屋根のような西側斜面を特徴としますが、大自然の造形美に関心します。

風吹大池と白馬大池 火山活動による山上湖

 白馬岳の北東方向には、北アルプス最大の山上湖である風吹大池と、大きさ第二位の白馬大池があります。過去に白馬大池火山が活動した頃できたもので、火口湖説と堰止湖説の両方あるようです。
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 白馬岳は、大雪渓やお花畑だけでなく、非対称山稜や山上湖等バラエティに富んだ楽しいところで、日本アルプスデビューにもってこいの山です。
 標高3000m近い高山ですから、装備をしっかり整えて登りましょう。