多摩川の最初の一滴は?
水干(みずひ)
奥秩父・奥多摩の山中を流れ下り、途中から東京都と神奈川県の都県境をなし、羽田空港近くで東京湾に注ぐ多摩川。水源としても重要な河川です。
その最初の一滴が落ちる場所はどこにあるのでしょうか?
奥秩父の笠取山。名前の由来には諸説ありますが、昔甲斐の国と武蔵の国の役人がお互い笠をとって挨拶を交わしたからという説が私の好みです。この山の懐に水干(みずひ)と呼ばれる場所があり、ここから多摩川138kmの流れが始まります。水干は沢の源頭の意味です。
水干を訪ねるには、山梨県の一の瀬高原にある作場平登山口駐車場から笠取小屋を経由する道が、歩きやすく整備されていておすすめです。登山地図の標準コースタイムで往復5時間程度です。
笠取山の西側には、多摩川、荒川、富士川の分水嶺があり石碑が建っています。雨がこの分水嶺のどこに落ちるかによって流れ下る川が決まるのです。小ピークですが、水にとっては運命的な場所ですね。
時間に余裕があるようでしたら、雁峠もいい所です。大菩薩峠周辺にも雁ヶ腹摺山という、旧500円札に描かれた富士山の元となる写真の撮影地がありますが、ともに雁など渡り鳥の群が山の鞍部を越えていくことにちなんで名づけられたものです。
奥秩父のこの一帯は、東京都水道水源林になっていて、水源涵養力を維持するため、原生林(天然林)を保全するとともに、山火事等により森林を喪失したエリアには寒冷地に強いカラマツ・ヒノキ等の苗を植樹し人工林を育成してきました。緑のダムと言えるでしょう。
アドバイス:青梅街道から一の瀬高原の間は狭い林道ですので運転には十分注意しましょう
東京都水道水源林や玉川上水については👉こちらをクリック