#94幌尻岳
単独行を最も避けるべき山
単独登山を好む方も多いと思いますが、幌尻岳は日本百名山の中で最も単独行を避けるべき山です。増水時に額平川の渡渉(というより川の中を歩き続けるのに近い)中に命を落とす危険が高まるからです。
登山基点となる、廃校となった豊糠小学校の校舎を利用した「とよぬか山荘」。ここの掲示板には行方不明者の写真と家族からの情報提供依頼が何枚も貼られています。
多くは額平川で流されたらしく、運が良いと発電所の取水口に遺体が引っかかるのですが、殆どの方は消息もわからないまま年月ばかりが過ぎていくとのことです。
私も時に単独登山をしますが、この山に関しては登山ツアーに参加しました。
登山一日目は、シャトルバス終点から林道を歩き、いよいよ渡渉開始地点に到着。フェルト底の靴、渡渉用のソックスとスパッツを身に着け渡渉を開始しました。
この額平川には広大な幌尻岳北カールに降った雨が全部集まるので、降雨後水嵩が増すのが早く、下界で降っていなくても山で降っている場合もあり、注意が必要です。平常時でも膝上から太ももあたりまで水につかります。
一度の大雨で川底の様子は一変するので、毎週のように往来している現地ガイド付ツアーを奨めます。
脚部を濡らして歩くこと二時間程度で幌尻山荘に到着。当初は明日幌尻岳を往復した後も連泊する予定でした。しかし明日夜から雨予報のため、下山できなくなるリスクを避け、明日とよぬか山荘まで下ることになりました。
登山二日目は沢筋から離れてぐんぐん高度を上げ、北カールを左に見ながら尾根を進みます。山頂では日高の雄大な山なみの眺望を堪能しました。
下山は同じ道を幌尻山荘に戻り、渡渉用装備に履き替えて出発。渡渉を終えると足回りを登山靴モードに戻して林道を歩き、シャトルバスに乗って、とよぬか山荘に到着しました。
夕食は、山荘名物のジンギスカン。ドピーカンのこれ以上ない好天に恵まれた山行にワイワイガヤガヤ、話に花が咲き、楽しい夕食のひとときを過ごしました。
(2019年9月登頂)