幌尻岳 平取町ルートと新冠町ルート
幌尻岳新冠陽希ルート
NHKで放送された「グレートトラバース日本百名山一筆書き」。
プロアドベンチャーレーサー田中陽希さんが、2014年4月から10月の間に、日本百名山を人力だけで踏破するという「離れ業」を達成した物語です。
幌尻岳へ向け新冠町から林道を走っていくシーンが印象的でした。
これを機に、新冠町側からのルートは「幌尻岳新冠陽希ルート」と命名されました。
深田久弥は同じく新冠側から幌尻岳を目指したのですが、当時は今日のように林道が山奥深くまで伸びていなかったため、新冠川を渡渉しながら遡行し、七ツ沼カールを経て頂に立ちました。
平取町(とよぬか山荘)からの行程の特徴
新型コロナウィルス流行前の2019年に私が登った経験に基づく感想ですが、平取町のとよぬか山荘から入るルートの特徴は下記のとおりです。
・とよぬか山荘とシャトルバス、そして幌尻山荘との連携がよい。
・額平川の増水により通行できなくなるリスクがある。下山時の足止めは仕事への影響がありえる。
・幌尻山荘の予約がとりづらい。とよぬか山荘は、泊まらなくても駐車場に車をとめてシャトルバスを利用することができる。
新冠町(イドンナップ山荘)からの行程の特徴
私はこのルートを経験していないため、あくまで2019年に両ルートを検討した時の感想になりますが、特徴は下記のとおりです。
・川の増水により往来不能となるリスクが少ない反面、林道崩落による通行止のリスクはある。
・イドンナップ山荘までの林道走行距離が約40kmと長く、そこから新冠ポロシリ山荘までの林道歩き(車両通行不可)の距離も20km近い。
もう一度訪ねたい幌尻岳
2019年9月に平取町側から渡渉も交えて登り、かって深田久弥が新冠川で腰まで漬かったのと同様の体験をすることができました。
新型コロナウィルス感染症が収束した暁に、次は新冠町側から訪れたいと思っています。
山行中に現地ガイドさんから「次は初夏の頃に来てください。高山植物が咲き乱れ、今回とは別世界です。」との説明がありました。
初夏の頃は、雪解け水の影響で額平川の水位も高めで水温も低く、新冠陽希ルートのありがたみを感じる時期と思います。
(注)高山植物のお花畑は北カールが中心なので、新冠陽希ルートから登るけれど高山植物も堪能したい場合は、平取町側ルートとの合流地点から北カール方面に降りて道草する余裕を織り込んだ計画を立てるのがよいと思います。