#83座目 黒岳(水晶岳)
黒岳(水晶岳)に登るには、北アルプス裏銀座縦走路(ブナ立尾根~烏帽子小屋~野口五郎岳~鷲羽岳~槍穂高方面)から寄り道をする必要があります(往復2時間程度)。
いや、寄り道というのは黒岳に失礼な表現でした。裏銀座縦走路にビルトインすべきルートです。
私が裏銀座を縦走したのは学生時代で、その頃は「日本百名山」が出版されたことも、黒岳の存在も知りませんでしたので、水晶小屋を何の疑問もなく通り過ぎました。
そのため、約40年ぶりに、北アルプスのヘソのような山域にやってきました。
計画にあたり、メインザックを置いてサブザックで往復すためのベースをどこにするかをまず決めました。野口五郎小屋からなら、黒岳への日帰りが可能ですので、当小屋で連泊することにしました。
裏銀座の登山口となる高瀬ダムからは、北アルプス三大急登のブナ立尾根を登ります。その場合、通常はヤレヤレで烏帽子小屋に泊まることになります。そこを今回は野口五郎小屋まで頑張ることにしました。
ブナ立尾根の急勾配を、右側の崩落斜面のすさまじい光景を見ながら登ります。強行軍日程を組んだため、烏帽子小屋に着いても今日の行程の半分強程度です。その先の三ッ岳あたりで雷鳥ファミリーに出会いました。雨と霧の天候だったため、天敵を恐れることなく家族総出で這松の中から散歩に来たのだと思います。数えると6羽もいました。
野口五郎小屋で夕食をいただいた後、翌日も長い行程になるので、早めに就寝しました。
入山二日目は、前日同様雨と霧の生憎の空模様でした。裏銀座縦走路を水晶小屋に向かいます。小屋からは縦走路から右に外れて黒岳を目指します。山頂では、ガスが濃く展望を得られませんでしたが、長居をしてチャンスを待ちました。すると一瞬視界が晴れて雲ノ平を見下ろすことができました。
水晶小屋に戻って力汁をいただいて元気をつけ、来た道を戻りました。
野口五郎小屋では、翌日は下山するだけという気持ちのゆとりもあり、黒岳登頂を祝い念入りに乾杯しました。
入山三日目、野口五郎小屋のスタッフの方々が、姿が見えなくなるまで手を振って見送ってくれました。
烏帽子小屋へ向かう途中、またもや雷鳥ファミリーと遭遇。一昨日のように霧が出ているわけではないので、天敵にやられないかと気をもみました。燕は天敵のカラスから身を守るため人間の懐に飛び込んで生活しています。雷鳥も人間を頼っているのかと思うくらい、人を恐れない鳥です。
烏帽子小屋からは、ブナ立尾根を急降下し、膝が笑いそうになりながら下山しました。
反省点としては、北アルプス中心部の山を残すと後々面倒なので、裏銀座のついでに登っておくべきだったということ、その一点に尽きます。
(2016年8月中旬登頂)